私には20年以上の付き合いになる、面白い出会い方をして不思議な距離感と頻度で連絡を取り合う、一回り年上の友人がいます。

私は高校生くらいまで、本当に「世界は自分を中心に回っている」と信じていて、何もかも欲しいものが手に入って、思い通りになる人生だと思い込んでいました。実際に多くのことがそうでした。

でも大学受験に失敗して、滑り止めで入った大学も楽しいと思えなくて、講義はほとんど出ず、当然成績も悪く、その流れで1年目の就職活動は大敗し「なんかもう人生楽しくないな」と自信も情熱もなにもかも無くしかけていた日々。

そんな大学生の間は、お小遣いとアルバイトのお給料が貯まるたびにニューヨークに一人旅をしていて、今思えばきっと現実逃避をしたくてそういうことをしていたんだけれど、とにかくそれがあったおかげで生き続けていたというほど、私にとって大事なイベントでした。

そのNY旅行で出会ったのが、上記の友人。

私がどんな話をしても「なんか分からないけどカッコいいな」と目をキラキラさせて聞いてくれて、自分ではなんとも思っていないことに対しても「それはすごいよ」と感心してくれて、自分への自信を完全に失っていた私にとって、それはまた良い意味で勘違いさせてくれる言葉をいっぱいかけてくれる人でした。

その友人とは、日本に帰っても連絡を取り続け、東京に来るたびに会っていました。当時は今みたいにLINEとか気楽な連絡ツールがあったわけではないのに、よくメールや電話で連絡を取り続けたなと、今思い返すとその強い縁に驚かされます。

お互い結婚して子どもができて、一時帰国のときに家族ぐるみで遊びに行ったりもそういえばしましたが、それでも連絡を取るのは年に1〜2回。急に気まぐれなメールのやりとりで近況報告をしあって、生存確認をする感じの関係が細く長く続いています。

彼は私と性格も性質も育った環境も、なにひとつ共通点がない人。あの日あの瞬間、NYにいたというのが唯一の共通点の人。

勢いまかせで、感情的で、激しい人生を送る私に対し、じっくりと、自分の感情は時に押し殺して、真面目な人生を送っている印象の人。

そんな彼から今朝メールが来ていて、長年勤める大企業で上りつめたといっても過言ではないポジションに昇進したとのこと。

世の中は、勢いがあって爆発力がある人に注目しがちで、最大瞬間風速で一瞬だけ輝いたりすることがあると、それをすごく評価する傾向があります。私はどちらかというとこちらのタイプ。

ただ、それよりもすごいのは、地道な努力をコツコツと続け、安定した心地よい風速を長きに渡ってキープできている人で、それは私が独立してビジネスをするようになって、しみじみと感じていることです。

長い間大企業に勤め、大変そうだった時も知っているから、それを乗り越えてコツコツ続けたことが、素晴らしい昇進という形で報われたのを知ったときは泣けました。

また次に連絡を取り合う時に私も良い報告が出来るよう、コツコツ派にはもうなれそうもないけど、私は私の最大瞬間風速更新していきます!