結婚するまでの私は、マキシマリストでした。

かつての私には収集癖があって、スタバのマグカップとか、ディズニーで買ったかわいいお菓子の缶とか、世界中を旅した時に買ったキーホルダーとか、推しグッズが、文字通り足の踏み場もないほど部屋に溢れていました。

一度実家が空き巣に入られたことがあり、引き出しなどを全て開けられて、ソファなどの大型家具も動かされてすごい状態になったのですが、私の部屋は手付かず。

にも関わらず、警察の方が指紋を取りに来た時に私の部屋を見て「ここもかなり荒らされましたねえ」と。いや、ここは朝と同じですし、何も取られていない模様です…と言うとお巡りさんは苦笑いしていました。(笑)

その頃の私は常に精神的に不安定でした。自分に対して満足していなかったし、でも満足できるように努力もしなかったし、だから常にモノを買うことで満たそうとしていたのかもしれません。

今思えば、大学生の頃の私にはとんでもない収入がありました。親からもらうお小遣いは、周りに言うと驚かれる額だったし、その上で食事代ももらっていました。さらにはスタバでアルバイトをして、テレビ局でもかなり高い時給で働かせてもらっていました。

実家に住まわせてもらって、車もあって、その上で毎月何十万も手にしていて、だけど常にカードの支払いに焦っていました。

満たされない気持ちが常にあって買い物を続けて、カード請求額がどんどん膨らんで行くから毎月支払いにハラハラし、モノなりお金なり、常に「足りない」の気持ちに支配されている日々が続いていました。

そんな私が就職して、新入社員のくせに新築の素敵なマンションで一人暮らしを始め、仕事が忙しすぎて食事は全て外食で、スーツしか着ないのにたまの休みは洋服やバッグを爆買いでストレス発散。周りと比べたら良い年俸をもらっていたのに、「足りない」は変わらず。

常に何かに追われている気分で、常に満たされた気持ちになれず、常に自分に不満がある日々でした。

そして就職して1年、私は自律神経失調症で倒れ、仕事を辞めました。

仕事を辞めてすることがなくなって、入ってくる収入もなくなって、かと言って仕事ができるコンディションでもないからどうしようもなくって、みんな仕事してるから遊ぶ友達もいなくって、綺麗な一人暮らしの家だけが残って。

「すべてリセットしたいな」

という気分になった私は、まだピカピカの家具を全部処分し、マンションも引き払い、当時母が仕事をしていたサモアに行くことにしました。

サモアに行く時に持っていたスーツケースの中は、気楽な夏服や本当に気に入っていたアクセと、辛い通勤時間を助けてくれたこのmp3プレイヤーのみ。

↑それまでCDとかMDとかを入れるプレーヤーだったので、サイズ的に嵩張るし、激しく動くと音飛びとかしてたのに、この片手に収まるライターサイズのmp3は大きなゲームチェンジャーでした。同じのを持っていた人いますか?!

プリクラ帳も、何種類もの香水も、履き心地最悪のハイヒールも、エビちゃんモエちゃん全盛期のCanCamな服も、スーツケースに入りきるわけないから、父の家に置かせてもらって。(なんて精神状態ではなかったから、正式には一方的に送りつけた状態。)

そしてスーツケース1つで上陸したサモアの住み心地が気に入って1年ほど、気がついたら今の夫と結婚することに。

特に日本に一度帰るようなこともなく、結婚式。

その後妊娠して、つわりが落ち着いた頃に手続きなどするためにようやく一時帰国をしました。

そして父の家で見つけた私が残していった、たくさんの段ボール。

もう何を残していったかさえ覚えていなかったし、「不便だな」と思うことはあっても、サモアの生活で心が満たされるようになっていた私にとって、箱の中のモノには全然ときめかなかったのです。あんなに欲しくて、カードで分割払いまでして買ったものばかりなのに!

サモアに戻る時に、限られたスーツケースのサイズと重量を考えて、持っていきたいと厳選したのは、妊娠中も心地よく着られる服と、すぐに壊れなくて洗いやすいサンダルと、サモアで待つ夫や家族にあげたいモノでした。

その後、もう一度日本に帰ってきて長男を出産し、そのままサモアに戻ることなくNZに移住をすることにしたのですが、再び国を跨ぐ移動によって荷物がさらに最小限になりました。特にこの時は、まだ赤ちゃんだった息子のオムツや着替えなどが最優先だったので、自分のものは本当に厳選したものだけ。

そんな感じで無意識のうちのリセットもあり、私はいつしか「スーツケースひとつ分の荷物でも生きていけるんだ」と思うようになり、モノへの執着が驚くほどなくなりました。

物理的なモノが減ると、探したり迷う時間がなくなるし、フットワークが軽くなるし、生活が気楽になります。だからちょっと心の中で行き詰まりを感じたときは、所有物の量の見直しをして、身の回りをスッキリさせます。

そしてスッキリすると、絶対に良いことが降りかかってきます。私はスピリチュアルな人間ではありませんが、きっと空いた分のスペースに前より良いことが入り込んでくるし、私は手放し方にもこだわりがあるので、手放す作業によって、自分の周りに無意識に良い循環を作れているんじゃないかなと、信じています。

そうそう、次回はその所有物の見直しをしたときに不要になったものの手放し方について、書いてみようと思います。