by Haruka

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障害と難病を持つ娘をNZで子育て中の母・Harukaです。

今日はとても素敵な体験をしてきました。障害などの理由で刺激に敏感な子どもたちのための「低刺激パフォーマンス」の舞台公演を見てきました。英語ではSensory relaxed performanceと表現されています。

オークランドで子育て中の方には広く知られている、Tim Bray Theatre Companyという劇団があるのですが、ここではスクールホリデーのたびに子ども向けの公演をしており、学期中は放課後の習い事としてドラマクラスを開催しています。

最初に私たちがTim Bray Theatreに出会ったのは4年ほど前。たまたま街で劇団の方が公演の宣伝をしていて、娘が興味を持ったので「この子はASDがあり、刺激に弱かったり、途中で飛び出す可能性がありますが、見に行くことは可能ですか」と聞いたところ、とても親切に説明をしてくだいました。

ファーマーズマーケットや学校の全校集会など、それまで大勢人が集まるところに行くのはほぼ不可能で、メルトダウンや癇癪が不可避だった当時小学2年生の娘でしたが、何週間も前からシミュレーションや説明をつづけ、公演当日はなだめたり励ましたりして会場まで連れて行きました。

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駐車場から入り口まで相当時間がかかった上に、目の前まできて嫌だ!恐い!と騒ぎましたが、その日は強行して連れて入ったところ、娘は We’re Going on a Bear Hunt (邦題: 今日はみんなでくま狩りだ)の公演に夢中になり、途中から防音イヤマフを外してみんなと一緒に笑い、最後までどっぷり集中して見ていました。私が思い出せる、最初の大きな成功体験です。

公演が終わったあと「私もあれがしたい」と言ったので、ドラマクラスに入れるか聞いてみたところ「大丈夫、やってみましょう!」と言ってもらい、初めての習い事がスタートしました。うまくいかなくて部屋の隅に隠れたり、泣いて出てくることもありつつも、毎週のドラマクラスが大好きだった娘。学校がつらくて仕方なかったときも、次のドラマクラスの日まであと何回寝るのかを数えて1週間をがんばって過ごしていました。

そんなドラマクラスが2年前に「ASDの子のためのクラスを作りました」と声をかけてくれました。普通のクラスでも楽しんでいた娘ですが、せっかくなら・・・とそちらに入れてみたところ、こちらもとても気に入り、ASDの知識・経験のある講師と、似た感覚を持つお友達とのクラスに、私も安心して毎週預けることができました。

そんなTim Brayが満を持して始めたのが、障害を持つ人のための「低刺激(Sensory relaxed)」「手話(NZ Sign Language)」「音声解説付き(Audio Described)」公演 です。今まで通り通常の子ども向け公演に加えて、別枠で各特性に合わせた公演をしています。

今日参加した「低刺激公演」は、20分前に監督と演者さん全員が舞台に並び「私はこの衣装を着ます、これくらいの大きな声を出します」「私は途中で泣きますが、本当に悲しいのではなく演技だから心配しないでください」「途中稲妻と雷がなりますが、これは舞台後ろからくる光で作っているもので、本当にここに雷が落ちるわけではないので心配しないでください」など、普通の人からしたら”ネタバレ”であっても、自閉症の特性を持つ子どもたちは予定外のことに対応するのが苦手なため、あえて事前に説明されることで安心して楽しめるのです。

舞台の袖にはずっと「いま何幕目か」の表示が出てたり、その横にいるお姉さんが大きい音が出る前に耳を押さえて「これから耳に刺激がある場面くるよ」とか、目を覆って「これからライトがチカチカするよ」などの合図も送ってくれていたので、音に敏感な娘は大きな音の前に耳を押さえて準備することが出来ました。

ほかには、Tim Brayのホームページには「劇場」「劇場周辺」「演者」の動画・写真と説明が細かく載っています。視覚で説明されないと理解しにくい子が多いため、我が家同様、たくさんの参加者がこの写真を使って事前に説明をしたことでしょう。じつに素晴らしい準備なので下の動画以外にも、ぜひvisual storyなど見てみてください。

会場内ではおやつを食べる子がいて、動き回る子がいて、持参のぬいぐるみを咥える子がいて、手をバタバタする子がいて、そして大きな声を出す子もいましたが、みんなよく分かっているので、「すみません」と謝る親もおらず、とても優しい空気が流れていました。

公演が始まる直前に、監督さんが「今日この場は非難されることを心配しなくて良い場所です。どうかリラックスして楽しんでください。」とおっしゃったとき、何人もの親たちが目頭を押さえていました。私の娘は今は落ち着いて見られるようになりましたが、過去の心苦しさ、周りへの申し訳ない気持ちがあった頃を思い出しウルっときました。

公演中も大声で叫ぶ子やウロウロする子がいても、親は堂々と好きにさせてあげている姿を見て、私はむしろそれがとても嬉しく思いました。たまにはこういう場所があることが、私たちのような親や子どもにとって何より心が解放される瞬間なのです。

ニュージーランドが推奨しているインクルーシブは、「実情が伴っていない」と感じることもありますが、こうして少しずつ色んな場所で選択肢が増えていっていること、そこには理解しようとしてくれる人と感謝する人が一緒になって、とても温かい空気が流れていることに気付きます。

私も【障害・難病児のためのNZ留学】を、早く実現させたいと改めて思った体験でした。

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