NZの現地公立小学校で理事を務めて3年目、Harukaです。

先日の理事会ミーティングで、新たに導入された性教育カリキュラムについての話し合いが行われました。

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性教育の内容決定までの流れ

これまでは、基本的にIntermediate(=中学校相当/Year7-8)からカリキュラムに入っていた性教育の一部が、世の中の変化に伴い、Primary(=小学校相当/Year0-6)から始まることになりました。いわゆる「性教育」は高学年からで、低学年は「身体の安全」「他者との関係性」が中心です。

日本と違うのは、各学校に「どのレベルの性教育をするか」が委ねられていることです。

多民族国家のNZでは、学校によって人種、文化、宗教、思想などに大きな違いがあるため、学校運営をしている校長と理事会が最終判断をします。

同じオークランドの小・中学校でも、思春期の身体の変化までを教えれば良い学校もあれば、性交渉と妊娠した時の緊急処置についてまでも教えないといけない学校もあります。ほんの車で数分の距離にある二つの学校で、それぞれこの両極端な内容を教えるようなこともある、というのもNZの特徴です。こういった現実があるため、教育省(MOE)が一律で授業内容を決めるより、学校ごとに決めた方が良いのです。

授業内容の最終判断に至るまでに、学校は保護者説明会を開き、保護者たちの意見を集め、その後も幾度にも渡る検討を経て最終決定にたどり着きます。そういった説明会開催のための専門プロバイダーも存在しており、多くの学校が実際に利用しています。文化や宗教によってはタブーにもなりうる内容のため、専門家にお願いした方が良いというのが多くの学校関係者の意見です。

また、決定事項に関して同意できない保護者は、自分の子どもを性教育授業に参加させない自由が認められています。これは高校生まで同じで、事前に「性教育授業への同意/有・無」を保護者が提出します。

LGBTQI+ と MVPFAFF もあつかいます

インクルーシブを推奨するNZでは、性教育の一環でLGBTQ+についても教えます。また、サモアやトンガなどの南太平洋(パシフィカ)コミュニティ人口も多いNZでは、MVPFAFFについても取り上げるのが特徴です。

  • LGBTQI+ (lesbian, gay, bisexual, transgender, queer, intersex, transsexual +)
  • MVPFAFF(mahu, vakasalewalewa, palopa, fa’fafine, ‘akava’ine, fakaleiti, and fakafifine)

mahu(タヒチとハワイ)、vakasalewalewa(フィジー)、palopa(パプアニューギニア)、fa’fafine(サモアとアメリカンサモア)、’akava’ine(クック諸島)、fakaleti(トンガ)、fakafifine(ニウエとトケラウ) は、それぞれの南太平洋諸国で使われているLGBTQI+に該当する言葉です。

性教育は英語とマオリ語両方

新たな取り組みのひとつとして、身体の部位は「英語」「マオリ語」の2ヶ国語で教えることになりました。

ただ、参考資料にマオリの先生と目を通したときに「マオリ語が第一言語の自分でも、知らない単語だらけだ」と衝撃を受けていたのが印象的でした。40代後半の先生ですが、性教育はマオリ語で受けたことがないそうです。

NZはマオリ語、英語、手話の3つの公用語が制定されています。今後はNZで教育を受ける子ども達が「生きるために大事なこと」は、マオリ語と英語の両方(願わくば手話も)で理解できるようになるというのが理想です。


理事会ではまだ始まったばかりの話し合いで、内容決定までは時間と慎重さが求められます。ただ、これによりニュージーランドの社会が、真の意味でのインクルーシブにより近づけるかもしれない、これが大きな救いとなる子どもがいるかもしれない、と思うと早く授業に取り入れられて欲しいなと急ぐ気持ちになります。

多くの子が自分の身を守り、社会から受け入れられていると実感できる授業内容になることを願って、内容決定まで見守りたいと思います。

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